「なんとかボールを奪うしかない。」
キタローも明徳ベンチも手を合わせ、みんな真っ赤な顔をして歯を食い縛り祈っていた。
「カットインうまくできればいいが、互いにファイブファウルで、ファウルならばすぐ大成のフリースロー。二本決められれば逆転劇は絶望に近いだ。」
明徳にタイムアウトは残されてない。
だが、コートの五人はやることはもう分かっていた。
「「大丈夫だ!!大丈夫だ!!」」
工藤監督は手を叩き選手たちに声をかけ、
「落ち着け!!お前らは勝てる!!!」
その一言で自信に満ちたいつもの強気な強豪校の大成メンバーに戻った。
(最後まで気を抜かなければーー勝てる。
死んでも、このボールを大成から離さない。)
石井が全神経を集中させ、スローインの位置に立った。
「あたれぇえええっ!!!」
パスカットを狙うも、フリースロー成功率が一番高く、ドリブルキープもできる田島の手に渡る。
‘大成には絶対勝ちたい奴がいるの。三年間一度も勝てなくて’
三年間ーー田島を止めるために戦ってきたキャプテン鈴木の声が頭に過った。
そして一斉に未茉が、そして後ろからはこの試合にこの瞬間に三年間の全てを駆けた鈴木が挟み撃ちするように全身全霊でボールに当たると、
ピーッ!!
「青4番!!」
ファウルを取られ、大成のフリースローとなった。
そしてみんな一斉に時間を確認する。
「残り12秒…」



