TIPOFF!! #LOVE SPRING





「後3分弱。残り一分で逆転しろ。お前がいない間に開く。一分で巻き返せ。」

弱々しく頷く未茉が暴れないようにと落ち着けるように背中を擦りながら、しっかりと目を見て健はそう力強く言うと、

……出させるのか……とその場にいた一同は皆そう思ったが、そうしなければここまでの苦労が水の泡となる。


「よし!!死んでも守るよ!!!」
そんなベンチからのやり取りを感じキャプテンの鈴木はコートの四人に手を叩き大きな声で鼓舞した。
「「うんっ!!!」」
白石が来るまで、絶対に。
ここまで頑張ってくれた彼女の為に絶対に大成には打たせやしない。
そんな熱い思いがコートを支配した。


「白石が…出るぞ!!!」

そして試合終了一分前、得点板を見上げるとまた四点差に開いていた。
頭から止血用テーピングでぐるぐると巻かれた状態の見るからに痛々しい未茉がコート前に立つと、会場は騒然となった。

「……はぁはぁはあ……」
もう半分意識は飛んでいた。ボールしか見えてなかったし、コートも汗で滲んで視界はよく見えないし足は棒のように痛い。

「……」

だがすぐ近くで翔真の寂しそうな視線に気づいた未茉は、リストバンドのついた方の手を翔真のリストバンドにぶっつけて、ふらふらと歩きながらコートに戻って行った。


「「出……出るぞ白石が!!」
「嘘だろ……」」
後一分だが、もう試合の行方は分からまいーーと観客達はみな総立ちのだった。

「「白石!!白石!!白石!!」」

その見上げた根性に明徳の声援と拍手が巻きおこった。


「未茉…」
溢れる涙を拭いながら莉穂は拍手を送りながら祈った。
静香もその姿に涙ぐみ、情が入らないように視線をそらした。


「白石……!!」

精一杯守る鈴木と新垣と水上がホッとしたように戻ってきた未茉の肩をポンッと叩き、

ーーパシッ!!!

もう体は痙攣を起こすくらい疲れてるのに前原は思いきり強く目が覚めるパスを未茉に送りつけてくる。

「何よその顔は。パス回せってあんたが言ったんでしょ?」

「前原さ…」

「何回でも何十回でもパス送ってやるから決めてきな。」

「!!」
体力さえあれば、クッ…とその意地っ張りさに笑いたくなるとこだったが、口角の筋肉すら疲れてる。
熱く、手のひらに感じるボールを確かな感触と共に最後の集中力と気力を振り絞って



ーー走った。