「!!」
前原から受け取ったパスに田島からの激しいブレスをかけられ、滑ったボールはラインを越えてしまう。
「やべ…」
そう呟いた未茉の息遣いと一瞬疲れを見せた表情に少し休ますかーーと野村監督は苦渋の選択をして、立ち上がろうとした瞬間、
「白石!!!へばってんじゃねーよ!!田島さんを越えなきゃ全国に行く資格はねぇって言ったよな!?」
緊迫したにらみ合いの中、突然明徳の男バスの観客席からは聞こえてきた声に顔をあげると、
「結城…!!?」
「大丈夫!!お前ならできる!!できるぜ!!!」
そして隣のいつもはクールな三上の熱い言葉の後押しに胸を打たれると、スローインで目をギラつかせた田島が狙っていたのは分かったが、
「いけぇ!!、」
ユーロステップを使い、ゴールへと走り出してシュートを決めた。
「はぁはぁはぁ……」
‘さんきゅー’と言いたい声も出せない程、疲労感が襲ってきたが、結城達の方へとリストバンドの手を高く上げて微笑むと、
「「白石!!!」」
「「白石!!白石!!白石!!!」」
枯れ果てた声で結城達がそう叫ぶと場内には白石コールが巻き起こりその後押しを受けるように、
ーータンッ!!
大成のオフェンスボールがリングからこぼれ落ちたリバウンドを鈴木がもぎ取り、アウトサイドの未茉へパスが通ると、スリーポイントシュートを決めた。