「「ろ……六点差!!ようやく王者の背中が見えてきた!!!」」

「一時20点も差があったのに……」
いよいよ4Qで逆転の兆しが見え始めると、会場はなんともいえない空気に包まれる。
「白石だ…!」
「白石にかかってる!!!明徳の逆転劇は!!」
勝利の鍵を握る未茉の存在に、満員の会場の観客の視線は凛とした姿勢でコートに立つ未茉の姿に釘付けだった。



「田島……!」
煽られたのか、石井は勢いに乗る明徳を怖れるように田島へ不安な面持ちで駆け寄るも、

「大丈夫。もう一点も許さない。」

毅然としたエース田島の背中は見たことないくらいに殺気立っていた。

さっきまでの余裕などもうなかった。


「……もう一点もやらないよ。」

その殺気だった目つきで目の前の未茉に言ったと同時に鋭いドライブで

「!」

一瞬にして抜き去り、ゴールを決める。


「早い!!白石が何もできなかったぞ……!!」
「「またやっぱり8点差に戻ったぞっ!」」
観客達がどよめきだす一方で、

(ーーはえぇ…。最終Qでこのスピードを出せるのかよ…なんつースタミナだよ。)
「はぁはぁはぁ……」
こんなに激しい息切れを経験したのは、未茉にとって初めてだった。

鍛え上がった三年と一年の差はかなり大きかった。