フリースローもしっかり決めると、
「まずいな…」
東京予選が始まって大成の工藤監督は、初めてそんな言葉を無意識に漏らしてた。
「今までの予選の中で、練習よりもこの大舞台で一番チームとしていい動きをしている。」
そして明徳の野村監督は、魂が揺さぶられるような感覚に陥る程、このチームがたった3ヶ月の集大成のように最高の状態で機能してるからだ。
「勝ちたいという気持ちが選手の気持ちをひとつにしてる。」
コートの上の五人が同じオーラで立っているのを見てキタローは感無量で数珠で祈り始める。
「「また8点差……!!」」
だが4Qに入り、優勝候補大成相手に明徳は返すがこの点差を中々縮められず、やきもきしながら和希達はもどかしそうに何度も得点を確認する。
「舎弟範囲内……か?」
「大成相手に中々縮められなきゃこの点差は結構キツイぜ。」
莉穂と二階堂は固唾を飲んで見守る中、
ーーバッシュ!!!
体を張った静香のマークを未茉が振り抜きフックシュートを決めた。
「クソッ……!未茉!!卑怯や!!」
「静香、お前はいつもこの時間になると足が止まって来てるぜ!」
思わず責めがかってくる静香に、そう忠告しながら急いで陣地に戻ってく。
「交代枠使ってるとはいえ、中林も石井も、白石のシュートを止めるのに結構疲れてるぜ。」
「ああ、白石止めようと以外と個人ファウル溜まってきてるしな。」
少しずつだが明徳に流れがキテると三上と結城が頷きだすと、いよいよその壁を越える。