廊下に出ると喋ったことも見たこともない可愛らしい女の子二人が立っていた。
「あれ?誰だっけ?」
同じクラスの子でもなければ、同じ部活の子でもない。

「ごめんね、急に呼び出したりして……ちょっと話があるんだけどいいかな?」
「おお、大丈夫だけど。」
軽く返事するとなぜか歩き始めた。

(ってかここじゃ話さねぇのかよ…。こういうとこが女子の面倒なとこだよなぁ。)
男なら場所を選ばず早く話が完結するのに女子は場所と人を選ぶ、こういうとこが自分には合ってないとしみじみ思う未茉。

人気が少ない遠くの女子トイレまで連れてこられ、二人は遠慮気味に確かめるように恐る恐る聞いてきた。

「湊君と付き合ってたりは……してないよね?」

「は?!付き合う?!ねーよ!友達!」

「だよね!!白石さん男の子みたいだもんね!」※悪気はない。
「まぁな!」※未茉も悪気を感じてなく、むしろ誉め言葉だと思ってどやる。

「よかった。頼みやすくて安心した。あのね、今日昼休みに湊君屋上に連れてきて貰えないかな?」

「え?翔真を?!あたしが?」

「お願い!告白したいの!」

「告白……」
(なんかすげぇ、女子って感じ)
「っか、すりゃいいのになんであたしが連れてかなきゃなんねぇの?(ただただ面倒。)」

「なんかぁ、湊君って抜けてるっていうか忘れっぽいとこあるじゃん?だから何時にここ来てって言っても忘れててすっぽかされた子何人も今までいてさー!」

「すっぽかされたらそりゃ可愛そうだなぁ。っーか、すげぇな。まだこの間入学したばっかなのに何人も告白されるって。」

「私っ、湊君を追ってこの高校に来たのっ!本当に超好きなの……だからすっぽかされたりとかしたくなくて白石さん湊君と仲良しっぽいし、確実に連れてきて貰えるよね!?」
有無を言わさぬ強引な勢いに仕方なく頷いた。