「「田島!!」」「「田島!」」
「「田島!!」」
会場中に田島コールが沸き上がった。もうーーその勢いは止められなかった。

「前原、白石交代だ。」

すぐにタイムアウトを取った明徳は、後半に備え二人を休ませて、一度落ち着いて立て直させようとしたのだ。

「向こうは石井を休ませてるから、田島は新垣、鈴木のダブルチームで行こう。少し負担はあるかもしれないが、三年の底力を見せてやれ!!」
「「はいっ!」」


「白石、大丈夫か?」
さっきから気になり、無言の未茉を不思議に思ったキタローが声をかけても、
「…」
無言のままで、みんなも気になるも、

「自信持って行くぞ!!!確かに観客もここにいる奴らはみんな明徳がここまで来ただけでも凄いと讃えてるかもしれんが……でもそうじゃない。全実力を出しきった奴こそが称えられるんだ。」

「野村監督……」
大きく手を叩く監督の言葉に選手達はみんな心を打たれていた。

「絶対に最後まで諦めるな!!!」

「「はいっ!!!」」
背中を丸め背を向ける未茉以外、意地でも最後まで諦めないと選手達は闘志を燃やした。



「……よし完全に潰したな。白石を」

明徳では一人孤立してタオルを頭から被り座ってる未茉を見ながら工藤監督は‘やはりな’と頷いた。

「気の毒にな。せっかくいいプレーヤーだったがこれまでだな。」

(田島とプレーをして何人者天才と呼ばれる者が戦意喪失し、バスケすらもうやる気力も自信を無くす程打ちのめされてきた。白石もその一人だな。)

「まだまだ早すぎたんだ。田島とやるには。」

「……」
嬉しそうなため息をつくその言葉に静香は汗をぬぐいながら耳を傾けていた。

「よしっ、ダブルスコアでも取って全国へと弾みをつけるか!!」
「「はいっ!!」」
大成のベンチからは工藤が選手達の背中を叩きコートへと送り出す。