ピーーッ
試合再開の笛が吹くと石井が手にしたボールをすぐに「はいっ!」初めて田島が手をあげて合図する。
「しっかりついてきなよ!天才」
未茉のマークに田島は、体の向きを変え後ろ向きで伸ばした左手でパスを受けとるかと思いきや、右手でキャッチし、物凄い早さでドリブルを始める。
「なっ……なんだ今のは……!?」
あんなパスの受け取り方は見たことがない観客達も我が目を疑った。
(ーー早えぇ!!追い付けない!!)
ボールを持つと一瞬でスピードが入る田島に追い付けず簡単にシュートを決められると、
「ほら!お望み通り今度は止めてやるよ。」
田島は笑いながら人差し指で‘来い来い’と挑発すると、
「はぁはぁ…くそはえぇ。」
分かってはいたが、知ってはいたが、田島は早かった。
そしてさっきとは別人のような激しくガツガツとボールを狙ったディフェンスをかけてるのを見ると、水上がヘルプに行き、鈴木達も裏へと走り出すが未茉は一瞬選択肢を迷った。
(タイミングが合わない…!!)
見抜かれた田島はカットして走り出すと、前原を交わして3ポイントシュートを決められる。
「「うわぁぁぁあ!!いよいよ本領発揮だぁぁあ!!田島!!」」
「こんなもんじゃないけどね。」
笑いながら田島がついにベールを脱いだ。



