ピーーッ!!
18対10で1Qが終了し、八点差で明徳リードでインターバルに入った。

「優勝候補相手にすげーじゃん!!!やっぱ白石かっ!?」
王子戦を見終えた結城がスコアボードを見て興奮気味に翔真の元へ戻ってくると、

「おい翔真・・いくら先輩だからってよくさっき負けた相手と並んで観戦できるな・・・」
さすがの俺も心の整理つかねぇのに…と複雑な心境で小声で呟く。

「マイクさんが勝手に来たんだよ。俺だって一緒に見たくはない。」
「さすがに俺は向こうでチームのとこで見るからな。」
「じゃ俺も。」
と結城の後をついて行こうとしたらマイクに引っ張られ止められる。

「結城、結果は?」

「30点差で王子の圧勝です。」

「そっか。」
そう答えると悔しそうな背中を見せて結城はみんなのいるギャラリーに走っていった。
「……」
‘お前は悔しくないのか?’と思わずマイクは翔真に訪ねたくなるくらいに表情一つ変えていなかった。

「今度はなんです?人の顔チラチラと……」
「NO、何でもない。」
(結果に納得してるんだな。王子の強さも敗戦理由も。だからそれ以上のことに感情的にはならないってわけか。)

「たいした奴だな。お前」
「マイクさん程じゃないですよ。」



「たいした奴だな。お前は!!」
何も知るよしもない野村監督はインターバルになると一番に未茉を褒め称えるも、

「田島なんだって?白石に突っかかってたでしょ?」
すかさずベンチで汗を拭きながら鈴木が聞いてくる。

「1クォーターまでに点入れとけって。」
「「……なんだって?」」
「これから田島さんの本気がくるってことでしょ?」

(白石…。白石のオーラが乱れてる…)
タオルと飲み物を渡しながらキタローは不穏な彼女の様子が気になった。