「勝つって分かってるゲームに1Qから必死に走るのもダルいし、接戦からの方がこっちも本気出せるしさ。あんたらのメンツも守ってあげられて、Win-Winじゃない?」
「…!?」
「サービスタイムあげてんだから、もっと点差開けてよね。観客も盛り上がらないじゃん。」


「……お前っ…!!!」

ピーーッ!
「そこっ!何喋ってんだ!?決勝戦だぞっ!?」
審判に笛を吹かれ、二人は注意を受けるも未茉の耳には届かず田島の胸ぐらを勢いよく掴みかかろうとするも、

「「白石!!?」」
乱闘の空気漂う張りつめたその光景に誰もが叫んだ時、

「……未茉、」
静香が駆け寄り田島を掴む未茉の手をおろさせ、

「決着は試合でつけるべきや。」

込み上げてくる怒りに静香の言葉がアクセル全開の未茉にブレーキをかけ、

「ここがコートの上でよかったな。じゃなかったらその無駄口二度と叩けねぇ口にしてやるとこだったぜ。」

コートの上では喧嘩をしない主義の未茉の言葉に田島は薄笑いを浮かべた。



「癖がある人なんですか?田島さんって。」
二人の空気を見て翔真は隣にいるマイクに訪ねてみた。
「だいぶな。屈折してるあれは。」
「……」
「幼い頃から実力持て余しすぎて負け知らずで生きてきたから、全国の舞台以外の試合は基本やる気ない。」

「だいぶ癖強めですね・・・。」