「白石は確かに凄いけど…、随分白石を自由にしてるような気がするな。」
自分が大成の監督ならーーと、野村監督も不思議に思った。


「「明徳が逆転だ!!!」」
そして未茉が逆転シュートを決めると、明徳は逆転をした。

「……なんでだ?」
未茉は田島に訪ねた。

「なんで止めねぇの?」

「……」
「田島さんなら余裕で止められる。なんでもっとガンガン来ねぇんだよ。」

少しつまらなそうに睨む未茉に、走って守りに戻っていく鈴木が足を止める二人を見て、
「白石!!何してんの!!戻って!!」
そんな声にも二人は動じずに立ち止まったままだった。

「何してんだあの二人はっ!?」
ボールを追いかけていかない二人に野村監督もベンチも立ち上がる。


「なんでって?」

「……」

「弱小チーム相手じゃ、ハンデ与えてあげないと試合が盛り上がらないじゃない。」

「ーーーー!!」
息一つ乱れずニヤッとして笑う田島に正気の沙汰を疑った。
静香は得点を決めるとその二人を遠目に見た。

「好き放題に点をあげるのは、1Qまで。今のうちにとっときなよ。」

「何…?」

(…未茉、あんたが戦ってるその田島という女は狂喜なんや…)
二人を見ながら心の中でそう思った。