「試合始まる前はガチガチだったが、落ち着いてるな。明徳。」
すでに着替えたマイクがコートの隅で寄りかかりながら見ていた翔真の隣に来て言うと、

「なんか俺らいつも並んで見てません?さすがに今日は嫌なんですけど。」

「いいじゃないか。どこで見ていいかわかんねぇしな。」
「大成のジャージ着て明徳応援してますからね。マイクさんは。」
「そう。だからさすがに早乙女は付き合ってくれねぇ。」
「あははっ。そこは早乙女らしいですね。」

「でも自分の夢と彼女の夢、同じくらい大事にして、何か悪いか?」
そう硬い顔してコートを見守るマイクの青く透き通るような優しい目に、
「そこは共感してますよ。」
翔真は微笑んだ。

「そっちこそ王子と荒井戦まだやってるぜ?見に行かないのか?」
「王子の勝ちですよ。」
見なくても分かると言い放つ翔真の読みは大体昔から見抜ける鋭さを持ってる。



「なんか…明徳強いですね……」
「ああ。特にあの7番の白石は、エース田島さんにマークされながらもよくシュートを放つし決める。」
「確かに無名ながらここまで勝ち上がってきただけありますね……正直もっと突き放されるかと思ってたのに。」

記者達もスコアボードを見上げながら同点に食らい付いてる明徳を見ながら違和感はあった。