『只今よりインターハイ東京女子バスケットボール予選決勝戦を行います!!』


「「わぁぁぁぁああああ!!」

大歓声に包まれる中、大成の石井と明徳の鈴木、ジャンパーの二人は空中へ高くジャンプする。
タップしたのはもちろん圧倒的な高さとジャンプ力を誇る石井の勝ちだった。

「そりゃそうだろ……」
「石井はでかすぎる!!」
観客席も当然だよありゃと言わんばかりに言うも、そんなのは計算済みだと言わんばかりに大成陣地へと走り出していた。

ーーーキュッキュッ!
床にバッシュ音が響き合った。
特に田島を徹底的にマークする未茉の所からは一際激しく響く。

「生意気に私をマークしちゃうか。」
「おう!お前のプレー楽しみにしてるぜ!」
「・・・・。」
誰に向かって口聞いてやがる・・という言葉を飲み込んだ。

ポイントガードの田島はゴール下へ入ろうとする静香へと高いパスを出す。
水上も鈴木の頭上を悠々とジャンプするも手をかすめる所か、届きもしない。
「…クッ!」

ーーパシッ!!
ネットと同じ位置までの高さのボールを静香は取ってみせ、空中から石井にパスしてシュートを決めた。


「「たっ…たけぇっ!!」」
観客席ではみんながどよめいた。
「俺ですら取れねーよあんなの!」
女子の試合とは思えない高さのあるプレーに170cm代の和希は思わず絶句した。

「決勝戦だけど…大丈夫か?試合になるかな。」「…大人と子供のような体格差のある試合ですね。」
圧倒的なジャンプ力とゴール下の強さを見せつける王者大成を見て明徳が気の毒になるのは、記者達も同じだった。

「決勝戦らしく、接戦を期待してたんだがこれはもう…」

試合冒頭からそんなぼやきも出てしまう中、



ーーーシュッ!!
前原はなんの恐れもなく田島にマークされる未茉に早いパスを送る。

受け取ったは未茉はもちろん田島を引き付けたままパスを選択せずドライブでシュートを打つ。

バシッ!ーーと簡単に空中で静香に弾かれる。

「「高いッ!!白石のシュートを弾いた!!」」
「「ああっ…」」
野村監督や明徳ベンチはまず一本目のシュートをしっかり返したかったからか、落胆のため息に包まれた。
だがそのボールはラインの外に出た為、明徳のスローインからのスタートだ。


「ここからだ。」
動揺一つせず禅は、未茉のプレーを見ていた。 


ゆっくりと外へパスを回して、鈴木のスクリーンを使って中へ入りこみ、静香をフェイクステップで交わした未茉はフローターシュートを落ち着いて決めた。

「「おっしゃ!!」」
「ナイシュー白石!!」
昔からいつも未茉にしてやられるパターンに静香は舌打ちした。