大成に敗れインターハイ出場を逃したが、誰一人責め立てる者もいないのはいうまでもなかった。

「よく頑張った。お疲れさん。」
「おつかれさん…!!」

野村監督は誇らしげに最後までベストを尽くした選手達一人一人に声をかけ称え、新米斎藤も泣きながら選手に抱きついた。

「「強かったぜ!!」」「「よくやった!!!」」
選手達を称える盛大な拍手が観客達から立ち上がって送られ、選手達の心に響いた。

橘や結城そして何人かは泣き崩れていたが、翔真は腰に手を当てて大きなため息をついて眩しそうに天井のライトを数分見つめたまま上がる息が静まるのを待っていた。

「……翔真、結城、三上」
「マイクさん。」

首にかけたタオルを握りながらマイクが三人に手を差し出して近づいた。

「ウィンターカップでまた戦おう。」
「はい。インターハイ頑張って下さい。」

泣く結城を抱きしめながら、二人に握手をし互いを称え合った。
そして同じ世田中だった橘ともマイクは抱き合い、
「三人をよろしくな。」
「ああ。いい試合をありがとう。」
そんな言葉を交わし合った。


「…湊。」
一年ながらに強豪大成で10分のプレータイムをもらい、持ち前のディフェンスで活躍した早乙女は翔真を呼んだ。

「僕らが勝ったけど勝たせてくれたのは大成というチームだったよ。個人的には不完全燃焼だった。」
「…うん。」

「今度はもっと勝負するから。そしたらーーまた。」

「ああ。おめでとう。全国頑張って。」

差し出された早乙女の手を握り二人の勝負も次回まで持ち越された。

(このまま告白しても、かっこよくないな…)
勝利はしたものの、スタートラインにさえも立てていないライバルの翔真との差を改めて痛感し、未茉への気持ちはまだ温めておこうと決めた。