「うっわぁぁあ!!めっちゃくちゃうまそぉおお!!これキタローが作ったの!?」

朝練の後、いつも間食をしているのに気づきキタローは未茉の大好物の手作りの甘いパンと特製ビタミンジュースを差し入れした。
「白石はバスケ選手としてもう少し筋肉量を増やすべきなので、カロリーと成分も一応計算しながら作った…」

「マジで!?すごっ!!!ありがとぉ!!!」
未茉は嬉しさのあまりぎゅっとキタローに抱きつくと、
「※§~#…#♡◆☆!!?」
言葉にならない声で失神し始める。
「おい!!北!マネージャーなら俺らにも作れよ!白石ばっかり!!ずりーぞ」
「……」
絶対に嫌だ……という細く遠い目で恐ろしい怨念を送りながら静かに立ち去っていく。
「怖っ!!!」
結城はビビってると、

「なに、白石さんってキタローの料理なんか食べてるの?怖っ」
「なんか毒とか入ってたりして」
「偽善者じゃない?湊君達の前でいい顔したいだけでしょ」
読書をしていた三上にはそんなクラスメイトの女子のヒソヒソ声が聞こえてきて、

「白石って同中の奴とかいないの?」
入学して1週間過ぎて、ひとつ気になっていたことを尋ねた。

「ん?いないいない。友達みんなそのまま推薦で王子高行ったりとか、部活の奴らは大成高に誘われたりさ。なんで?」
「いや、俺らとばっかいて女友達といないからさ。」
(女バスでも浮いてるし……)と少し心配だった。