『只今より男子の大成高校対明徳学園高校の試合を行います。生徒の皆さんは……』

会場ガイダンスが流れると、急に練習コートが静まり返った。

「女子の試合まではここの練習場で私達はギリギリまで練習してるけど、白石はどうする?」

「え?キャプテン達見ないんですか?男子の試合。マイクも出てるのに。」
「ジョンの応援なんかしないわよ。自分の試合を勝つことで精一杯よ。」
さっきまで笑ってたキャプテン達はもう気持ちを切り替えていた。


「負けてこれで終わりになんてしたくないから。インターハイ出てあんた達と少しでも長く試合してたいからね。」
「水上さん…!」

「でもあんたは見ててあげたら?」
「練習もしてぇけど、みてぇなぁ…」

「うん。湊はあんたに見ててもらいたいと思うよ。」


「その通りです。」
「「翔真?!」」
突然背後から現れて聞いていたのか、翔真はニコッと微笑み、

「ちょっと貸してくださいね。明徳と俺の為に。」

有無に言わす隙も与えないまま翔真は未茉をかっさらうように肩を抱き会場へと走り出した。

「おいっ!翔真おせーぞ!」
「悪い。」
結城に怒られ謝りながら翔真はコートに戻ってくると、
「何してたんだよ。」

「勝利の女神を連れてきた。」

東京ナンバーワンの座を賭け、インターハイ出場がかかる大事な一戦だっていうのに相変わらずのゆるキャラの翔真に結城は呆れるも、

「おい、翔真・・」
コートの外にいる未茉を指差した結城は、


「お前の勝利の女神、浮気してるぞ。」

「え・・・・。」

コートの隅では自身の荒井戦が始まるまで大成対明徳を見にきた健が未茉と肩を並べながら笑って話している。