この日は休日で男女共にインターハイ東京予選の決勝の舞台で閉会式もあるため、いつもよりも更にキャパの広い会場にたくさん観客で埋め尽くされていた。
試合会場の他にも練習コートが一面一校持てるので明徳は男女共に練習を始めだした。
「キャプテン…!」
気持ちはすっかり切り替わったようでキャプテンはいつものキリッとした表情に戻っていた。
「さっきはごめんなさい。」
深々と反省し未茉に頭を下げる鈴木は、経緯をマイクから聞いたようだ。
「どうせなら最後に東京ナンバーワンの座もとってやりましょーよっ!!」
「白石…」
未茉が投げたボールをしっかりキャッチすると鈴木に笑顔が戻った。
「そうだよ。沙穂。」
「三年間の仇打たなきゃね。」
「うん…!」
新垣と水上、そして三年達は鈴木の肩を叩きながら顔を見合わせる。
そんな様子を二年の輪の中から前原は見ていた。
「あ、そうだこれ…」
キタローはポケットから五人分の頭に巻く細いブルーのヘアバンドを差し出した。
「えっ!!なにこれキタロー!!」
「…みんなで気持ちを一つにして勝ちたいなと思って…タオルを縫った時の余りの生地で作りました。他の部員達にはもう配ってあります。」
「えっ!!?凄い!!これ北君の手作り!!?」
鈴木はそっと手にすると、コクン…と静かに頷く。
「凄げぇ!!しかも背番号と名前まで裏にかいてあるし!!」
「さすがオトメン!!!嬉しい!!ありがとう!!」
水上と新垣は手を伸ばして受け取り感動してつける。
「オトメン……」
キタローはそのネーミングに少し微妙な表情を浮かべるもみんなが喜んでくれるのを見てよしとする。



