「てかびっくり……もしかしてキャプテンって田島さんの男盗ったってこと?」

「ってことはさ、大成のマイクさん?」
「マイクさんは田島さんの男だったってこと?」
「えっ!?それヤバくない?」
「なんか見る目変わる……」
明徳更衣室では、さっきのやりとりに集中力が欠け、一二年の女子達が驚きから動揺が走りざわめいていた。

「こらっ!ここどこだと思ってんのよ!!インターハイ出場をかけた決勝戦よ!?」
「そんな話してる余裕なんかないはずよ。」
事情を知ってか知らずか三年の新垣や水上は部員達に戒めると、空気を元に戻した。

「部員達の気をそらす為に田島の奴、わざと言ったんだね。最悪。」


まんまと挑発に乗ってしまったキャプテンとしての自覚に欠けてしまい、自分を責めていた鈴木は、きっと動揺しているであろう更衣室には行けずに一人自販機の前で気持ちを落ち着かせるように佇んでいた。


「…!!」
探しにきた未茉は、そんな鈴木の涙を浮かべる姿に気づくと声をかけるのをやめ、すぐに大成の控え室に向かった。


「おい!!マイクっ!!!」

ーーバンッ!!!!
ノックもせずに大成の男子控え室の扉を未茉は勢いよく豪快に開け、マイクを探した。

「「なっ・・・!!!」」
「「しっ白石ぃ・・!??」」

見事に大成男子部員達は着替え中で一斉に真っ赤な顔して振り向くがそんなこともお構い無く未茉は、マイクの元へずんずんと力強く歩いてく。

「白石!!お前は礼儀ってもんを知らんのか!?他校のしかも男の部室にずけずけと…」
「白石さんっ!一体どうしたの?」
マイクに詰め寄る未茉に早乙女も驚くも、

ーーーバンッ!!
「!!」
未茉はマイクが座っていたすぐそばの壁を叩いて顔を近づけて睨んだ

「マイク!!!」
「‘さん’を付けろ・・。」
「そこの廊下の自販機前。」
「あ?」

「彼氏だっつーなら、こんな大事な日に彼女を悲しませてんじゃねーよ!!!」

「……!」
マイクは立ち上がってすぐに更衣室を出て廊下へと走り出した。

「ふう。」と未茉は‘やれやれ’と安堵のため息つくと狂暴な彼女にびくびくと怯える大成部員達を尻目に、

「あ、どうもお騒がせー!!」と笑顔で出ていった・・・。