「沙穂、こっちへ」
三年の新垣は鈴木から田島から離そうと連れてこうとした時、
「大変だね。冗談が通じないキャプテンなんて。」
そう捨て台詞を残し嘲笑うかのように田島は歩き始めると、未茉が口を開いた。
「じゃあ、お前が持ってたボールは、簡単に取られるようなボールだったんじゃね?」
「ーー!!」
「欲しいボールは絶対に盗りたいよな。たとえ誰のボールでもね。」
驚く田島の肩に手を乗せて二ッと強気な笑みでいい放つ未茉に、
「分かった白石。」
乗せられた手を掴みながら笑って振り払われ、
「あんたには無縁だった‘屈辱’ってもんを今日味合わせてやるから。ーー待ってな。」
急に目の色変えたように真顔で言い放たれるも、
「おう、楽しみにしてるぜ。」
ちっとも怯むことなく受けて立った。
「お、静香っ!」
大成女子達が通りすぎてく中、未茉は静香に気づき、声をかけるが急に睨みだした。
「なんなんだよお前…昨日から」
そんな戸惑いも虚しく、すっ…と言葉も交わさず去っていってしまった。



