「こんにちは。明徳さん。」

更衣室に向かう途中で会場入りをした進行方向からこちらへとやってくる大成の女子達と鉢合わせした。

「田島…」
「沙穂、お互いに最後のインターハイね。」
「ええ。」
余裕の笑みを浮かべる田島が筆頭となり道の真ん中を歩いてきて、鈴木の前で足を止めた。

「でもあんたが盗るのはボールじゃなくて男だもんね。」

クスッと鈴木の耳元で笑いながら呟く田島の胸をつかんで、壁にドンッと体を押し当てた。

「「キャ…キャプテン……!!!?」」
明徳の部員達が驚き、慌てて止めに入ると、


「冗談よ?沙穂。」

互いは顔を近づけ睨んだまま田島を掴む手の力を緩めようとはしない鈴木に未茉は駆け寄り、

「キャプテン!!どうしたんだよ急に!!?」

「こんなとこ大人に見られたら没収試合になるよ?ね?白石?」
無抵抗の田島は面白そうに挑発すると、

「鈴木さん…せっかくここまで来たんです。くだらない挑発に乗らないでください。」
冷静なキタローが間に入り、田島を掴む鈴木の手を引き離すと、

「…」
我に返ったように落ち着きを取り戻した。