「ママっ!!静かにしてよっ!!みんなの迷惑だろ!?」
ギャラリーの二階に上がって思わずママの口を両手で押さえるように掴む。

「あらぁ、だってぇー匠君も建君もでるし湊君も出るし、静香ちゃんも出るしぃー!!見に来ないわけには行かないじゃなぁいっ??
ふふ♡イケメンパラダイスねぇ!!誰を応援しようか迷っちゃうわぁー♡」

「バカじゃねぇの!?湊以外みんな明徳の敵だしっ!!」
「えぇ~~そうなのぉ??」
「・・・そうだろうよ・・。」


「おはようございます。ご無沙汰しております。」
そこへ白石清二の大ファンの野村監督が深々と挨拶しにやって来ると、
「あらぁ~いつも娘が御世話になっておりますぅ~♡」
と大人の挨拶を始めたので、未茉はさっさっと下に降りていった。

「娘さんのおかげで去年東京ベスト16だった明徳がベスト1を争うまでになりました。」
深々と改めて頭を下げる野村に、ママは微笑みながら首を振った。

「野村先生。」
「はい」
「それは違いますわ。」
「……」
「バスケは五人で初めて戦えるスポーツ。誰か一人の力でベスト1になんてなれませんわ。」
「……!」
「ここまで来たってことは、きっといいチームだったのよ。明徳は。」

(物凄いサラブレット一家でありながら決して娘に自惚れない。この親御さんだからきっと白石は…努力を怠らないのか…)
一瞬顔つきが変わったから本気で感心してるとまたすぐコロッと変わり、
「花婿候補の湊君とも出逢えたしぃ~♡♡明徳に未茉を入れてよかったわぁー♡♡早く結婚してほしいわぁぁあっ!!!」


「はっ・・・?はぁ・・。」


(けっ・・・結婚!!?許嫁!!!)
なんとなく悲しい気分になるキタローであった。