他校よりも一番に会場に着いて練習する予定だったが、王子の男バスケメンバーがもうすでに着いていて練習を始めていた。
「王子は荒井とか…」
王子は荒井に過去練習試合を含め負けたことはない。
大成が荒井に難なく勝利してるとこを見ると、王子はきっと勝利をおさめるだろう。
誰も口にはしなかったが、インターハイへの一枠は王子で決まりで、
残り一枠を、大成かーー明徳か。
皮肉にも男女共に今日勝利した方が進出となるだろうことを予想していた。
(あ!健兄だ!!と、駿もいる!)
未茉の視線に気づいたのか、健は一瞬こっちを見て軽く手を振り、また視線はまっすぐリングに戻した。
(この女・・・)
背後からは同世代の憧れのスター兄弟に二年の前原や矢野達から憎悪の込められた視線が感じるも未茉は全く気づかない。
「ん?なんか悪寒がしたよーな・・」
首を傾げてると、
「未茉ちゃぁぁーーあんっ!!」
「「ん?」」
ブルッとした悪寒と共に二階のギャラリーを見上げるとそこには未茉のママがこっちに大きく手を振っていた。
「ゲッ!!!ママっ!!!」
「「ママぁあ!?」」
部員達は、ギャラリーの一番前に陣取ってる未茉の母に驚きの声をあげた。
「あ、未茉ちゃんママだ。」
こんにちはとペコリとお辞儀をする翔真が遠目からも挨拶すると、
「きゃああああ♡♡♡湊くぅ~ん!!ひっさしぶりねぇー♡♡♡」
練習中の王子の選手達もズコッとひっくり返る程の高飛車な声をあげるママに「はい」と翔真はにっこりと手を振る。
「白石のうるささは母親譲りなんだな・・」
「な・・。」
明徳部員一同は頷き呆れた視線を送った。
「今日は頑張ってねぇー♡♡きっと明徳が勝つわよぉー!!」
「おい星河、さっきあのおばさんうちらにも王子が勝つわよぉーって言ってたよな?」
「「・・・・。」」
部員達にそう突っ込まれ星河兄弟はひきつりながら何も言えなかった・・・



