「なんだよ静香の奴……へんな奴……」
いつもと違う静香に唇を尖らせながら未茉はドリブルを始めると、
「……」
公園を出た静香は足を止めてフェンス越しに未茉の姿を睨むように見つめたあと、悲しい目をし肩を落として歩いてると、
「きゃははははっ♡もーやだぁ禅君ってばぁあっ!!」
背後から女の甘ったるい鼻につく声が響いてきて静香は振り返ると、
「なんや禅やないか!!」
「あ!静香先輩!こんちはっ!」
「禅くぅーん誰ぇー??」
その横には小さくて可愛らしく華奢な女の子が禅の袖を引っ張りながら体をくねらす。
「久しぶりやな禅、なんや相変わらずブスな女連れとるな。」
「ブ・・・っ!!?」
女の子は真っ赤になり静香を睨むと、怒りながら帰ってしまった。
「追いかけなくてええの?」
「ええです。ええです。ちょうど飽きてたし。」
「食べ物みたいに言うんやな。」
「同じようなもんですよ。」
さらりと答える悪びれのない禅に、
「おまっ・・、いつか刺されるで?!チビのくせしていきがりやがって!!!」
「チっ・・成長期これからっす!!1cm伸びたし!!」
「お前が伸びてんのは鼻の下や!!」
「ぬあっ・・・」
「悔しかったらうちみたいに178センチになってみぃ!!まっうちはな、バスケの為に青春も女もこの美貌も捧げてんねん!!」
「美貌ぉお・・・!!?あっはははっ!先輩相変わらず冗談きつめっすね!!」
「誰が冗談やこの野郎」
二人の大きな声が公園にいた未茉の耳にまで届いてしまい、
「静香まだいんの?あ、禅じゃんっ!!」
こっちに来ると思った静香は走りだし、
「禅、アホ未茉を家まで送ってやってや。どうせ明日の試合のこと忘れて夜中まで練習するやろうから。」
「センパイは?」
「大丈夫やっ!よろししゅーな!!」
静香は未茉に会わないように逃げるように立ち去った。



