……トントン……

そしていよいよ、大事な一戦が明日に控える未茉は部活の帰り道、近所のバスケットゴールのある公園を通りかかると練習帰りであろう静香が練習をしていた。

「あっ、おーいっ!!静香っ!あたしも混ぜてよ!」

ひょいっと公園の柵を飛び越え未茉はベンチにバッグを放り投げてバスケットボールを取り出し、静香の元へ駆け出した。

「未茉…!」
「久々に1on1でもやる?」
家の近所でリングのある公園はこの公園しかなかった。

「そういえば静香ってわりと緊張するから試合前とかはよくこの公園で夜遅くまで練習してたよな。総体の前の日も二人でさー!」

昔を思い出しながら話して未茉がシュートを放ち振り向くと静香は背を向けてボールをバッグにしまって上着を羽織始め帰り支度を始めた。

「え、おい静香!」

「明日はインターハイ出場がかかっとる大事な決戦や。敵と1on1なんかするバカがどこにおるんや!アホか。」

「おいおいどうした?敵は敵、友達は友達じゃん。」
「何わけのわからんことゆーてんねん。未茉は敵やっ!全中の時とは違うんや!!帰るで。」
「なんだよそれぇー!!」

「明日はこてんぱに恥かかせてやるで。覚悟しぃや!!」
「変な静香。ばーかっ!負けちまえ!!」

「アホ!負けんのはお前らやーちゅーねん!!」
機嫌が悪いのか試合前日でナイーブになのか、静香は気分悪そうに帰ってしまった。