「ねぇあなたの前での翔真ってどんな人?」

一足先にコートへと戻ってきた未茉にユリは尋ねた。

「は?翔真ぁ?」
試合中に何の話だよ。と未茉は怪訝そうな目付きでユリの神経を疑って見る。

「教えてよ!どんな翔真なの?」
「どんなってなんか外人みたい。」
「は・・・??」

「アイツ日本人特有の規律を守ろうともしねぇし、ほんわかしてるし、ゆるキャラの平和主義だし、すぐくっついてきたり、隙あればキスしようとしたりするしよ。」

(・・・悪口なのか、ノロケなのか・・・。)
聞いてるユリは微妙なとこだったが、急に真面目な顔で未茉は言った。

「あと実は寂しがり屋じゃん。」

「……!寂しがり屋?なわけないよ。一人が好きって言ってたもの。」
「疲れてんじゃん?」
「は?」

「誰よりも何よりも周りを常に見てるじゃん。バスケもそう。チームの為に自分がどう動けばいいのか、今だったらBIG3を明徳にどうしたらフィットさせられるか一番に考えてる奴なんだよ。ああ見えてよ。」

「……ーー」

「何にも考えてないような奴がこんな大舞台で疲れて熱出したりしねぇよ。」


「なんで……」
(なんで……あれだけ一緒にいたのに。こんなに好きなのに、出逢って数ヶ月の奴に私の知らなかった翔真を気づかされなきゃなんないの。)

「…お前さ、こんな大事な試合中にまで翔真のこと考えるくらい好きなのに、翔真のことあんま分かってないんだな。」

呆れたようにため息つき、未茉は開始位置へと戻ってく。
ユリにとって二人が付き合ってるということよりも、この言葉が何よりも胸に突き刺さった。