ダムダムダム……
未茉は自分をマークするユリを見ながら身長の高さを確認する。
(175センチくらいか?でも177センチあるキャプテンより遥かに高い到達点のジャンプするもんな。羨ましいぜ。)

ーーパシッ!
「!」
一瞬、前園に未茉の手からボールを取られそうになったがすぐに避けた。

(いいプレスかけてくんな。チーム自体で守りの固いいいディフェンスだ。)
「監督の出来がいいんだな。」
納得したように未茉が思わず口に漏らすと、聞こえていたのかユリはニッと微笑んだ。

振り向いてディフェンスからすばやく離れ抜け出した前原の“パスを戻せ”の視線を感じ、落ち着いてパスを出したが、激しいプレスに迷いを見せると、ベンチからのカウントの声に3ポイントシュートを打たされていた。

リングから外れてすかさずユリがリバウンドを取る。

(前原さん、らしくねぇな。なに焦ってるんだ…)



「まずいな……」
早々にタイムアウトを取るか早くも野村監督は迷うほど試合開始五分、12対0と明徳はまさかの無失点だった。

「「ユリ!!ユリ!!前園ユリ!!!」」「「桜蘭!!桜蘭!!」」
「このまま桜蘭ペースだとどんどん差が開くぞ…。しかもこの空気を悪くするこの声援…」
「白石には二人つけてるしな。当然だが、そうとう警戒してる。」
「いや、白石はもう気づいてるよほら。」
マイクや静香の心配をよそに田島は白石を見る。


「前原さん、焦ってんの?」
時間の確認で止まった時、未茉は前原に思わず声をかけると、

「は?」
きつい顔で睨まれるも、
「あんな無理やりなシュート打たそうとしなくていい。ちゃんと練習通り、落ち着いてパス回して、中へ入れるべきだ。」

「…誰に向かって口聞いてんのよ。」