『明徳高校七番、一年白石未茉。』

「「白石!!!白石!!!」」
わぁぁあっ!!…パチパチ!!!
予選までの活躍があってか、コートに出ると観客席からは携帯を向けられ、記者達からはたくさんのフラッシュを浴びていて一番盛大な拍手で迎えられる。

「oh Wonderful!白石の奴…こんなに人気なのか。」
「沙穂(鈴木)よりも凄い声援ね。」
「・・・。」
またもや田島のキツイ嫌みにマイクは言葉を詰まらす・・・。
「女子の王子戦で白石さんは凄く注目されましたからね。強い高校にいなくてもここまで自分の力で勝ち上がって輝くなんて凄いですよ。」
関心と尊敬を込めた早乙女の言葉に静香は、
「……」
黙って未茉を見つめていた。


『桜蘭学園二年生、七番、前園ユリ!!』
「「わぁぁぁあああっ!!」」
「「ユリ!!ユリ!!ユリ!!」」「「ユリ!ユリ!!」」
ユリの名前が呼ばれると会場内一番の歓声と声援になった。
会場の角では太鼓を叩き盛り上げてる者までいた。
その声援に慣れたように答えるユリは会場に向けニコッと手を振ると、
「「うぉおおおっ!ユリぃーー!!!」」
オタクのような連中が嬉しさのあまり雄叫びをあげだす。

「おいおい、ファンクラブまであんじゃないか?」
ユリの応援団のような集まりの一角は、同じTシャツを着てペンライトのようなものを振り回して応援している。


「うるせぇ・・・。」

コートの上の未茉は耳を塞ぎながらユリを睨むと、
「ふふ。声援があるとやる気違うじゃない?」
「意味わかんねー・・」

「一番応援してほしい人はしてくれないしさ。翔真帰っちゃうし。」
頷くと今までの雰囲気とは違うユリは寂しく切なげな横顔を見せた。

「別れてもそんなに翔真のこと好きなの?」


「好きよ。彼以外考えられない。忘れられない。さっき気づいた。」