「あれ?駅こっちじゃなくない?」

未茉を乗せた自転車は駅とは逆方向に向かっていた。

「ん。寄り道。」
そう気分良さそうに風を切りながら翔真はぐんぐん自転車を漕いでいく。
「寄り道かぁ、いいねっ!!」
そういうノリも好きな未茉は風で髪を靡かせながらはしゃいで答える。

「この先の坂登った所に、星がきれいに見えるとこがあるんだって。」

「へぇ。翔真にも女っぽい一面もあんだな。」
「誰が女よ!」(乙女口調)
「あはははっ!!」
二人の息の合った軽快なノリ突っ込みに、察した結城と三上は顔を見合せ、ブレーキをかけ、

「俺ら用あるから帰るわー」

「え!?明日になって行きたかったーって泣きべそかいても知らないよ?」
「誰が言うかっ!」
「いいそー結城ー」
ケラケラと笑い出す未茉に、
お前らに遠慮して言ってやってんだ!!という言葉が喉まででかかったが、

“ありがと”
そんな二人を察して翔真がそんな目でアイコンタクトを取ると、頷く結城は照れくさそうに「じゃーな!」と平静を装い、二人と別れた。


「え、あれ翔真告る系?」
二人の姿が見えなくなると、結城は三上に訪ねてみた。
「さぁ…でも俺あんなに分かりやすく女にぐいぐい行く翔真初めて見た。」
「俺も・・・」
中学一緒だったのに、あんなに恋愛モード全開の翔真を見たの初めてな二人だった。