「あ、健兄!」

「おう。」
更衣室から出るとぱらぱらとユニフォームに着替えた王子学院の選手が張りつめた雰囲気の中、コートに向かっていた健に気付きに手を振った。

「さっき湊がタクシーで帰ってたけど怪我でもしたのか?」
「熱出してたんだよ。」
「えっ?アイツさっき試合出てたろ?」
「昨日の試合で結構疲れてたからね。」

「だろうな。ただがむしゃらに勝ちたい気持ちだけで熱くなっても、体はついてこないぜ。」

「まだ一敗だろ!明日はうちが勝つぜ!」
ふて腐れたようにため息つき、軽く健を叩くと、

「湊か。お前が惚れるのも無理ないな。」

「は?この間からなんだよ!!誰がいつあたしが翔真に惚れてると言った?」
「ふははっ!自覚症状なしか。ざまーみろ。湊の奴。」

「なんだかよくわかんないけど!ま、今日は王子応援してるからね!!大成ぶっ潰してよね!」
「おう。お前も桜蘭に勝てよ。」
「もちろん!あ、匠兄だ!」
後ろからやって来た匠に気づき未茉は手を振るも、

「ああ…頑張れよ」
「ん?うん匠兄も……ね、あれ?」
匠は目も合わせてくれずにスッと避けるように行ってしまった。

「緊張してんだよ。試合前だから。」
「そっか。」
「……」
(匠傷ついたんだろうなー。負けるとこれっぽちも思ってなかった恋敵にあれだけ点決められたんだからな。)

「でも俺は逆に燃えたけどな。」
「は?なにが?」
「いや?」
弟とは正反対の意味深な笑みを浮かべて、未茉の頭を撫でてコートへと消えていった。


そして男子はインターハイ常連校同士である大成と王子学院は、全国優勝の名に相応しく名門のプライドを守り、星河健の大活躍が光り王子学院が圧勝をした。


そして男子は、三校全てが一勝一敗に並ぶ大接戦のなってしまい、二日目は幕を閉じた。