「お前らはあの全国優勝した王子学院に勝ったんだ!!!荒井に負けるわけがない!この試合は絶対に勝つぞ!!」
「「おおっ!!!」」
「歴史も名門も常識も関係ない!!俺らがインターハイに行くんだ!!」
「「おおっ!!」」

第二戦目、荒井戦を前に野村監督が観客や他校の選手達に体育館中に響き渡るような掛け声で、円陣を組む明徳選手を煽った。

「「明徳だぁっ!!気合い入ってるぜー!!」」
「これに勝てばインターハイ出場決定だぞー!!!!」
「「湊!!BIG3!!」」

実質、全国一位のチームに勝利したということで今日インターハイ行きが決まるであろう大手をかけた一戦に、マスコミや取材陣からの期待高まるフラッシュの光が向けられた。
二階の観客席からは、今大会の男女共にダークホースとしての期待の歓声がコートの明徳の選手に飛び交い、もちろん翔真とBIG3には一際高い声援が飛んだ。



「なに白石。そんな顔して。」
鈴木キャプテンが何か気づいたのかコートを見つめる未茉に気付く。

「翔真がなんか変だ。」

「さすがに緊張してるんじゃない?インターハイのかかった大一番だしエースだもの。」
「翔真は緊張はしないし。」
「いや、するでしょさすがに。あんな取材陣に囲まれちゃ……」
「ちょっとあたしコート行ってくる!!」
「ちょっと… 白石!」

‘ふう’とため息をつく翔真の横顔には疲れが見えていたことに気づいていたのは、未茉だけではなかった。


「翔真、まだ疲れが取れてないな。」

時間差で隣のコートで王子戦を控え練習をするマイクが早乙女と翔真とを見つめながら言った。

「湊と散々中学時代から試合してきたけど、あんなスイッチの入った湊は始めてみました。実力以上っていうか…」
「実力の何倍…いや、何十倍以上の力出せなかったら、勝てないね。王子には。だが果たして今日もそのエネルギーが持続するかな。」

翔真をよく知り尽くしてるマイクが、高校ではそう甘くない。と忠告するような視線を送った。