念願の東京ベスト3、決勝リーグ進出ーー。
試合終了後のコートでは、明徳女子達が勝利の余韻に浸ってると、
「……前原」
全力を尽くしてゴールを守りきってた鈴木が息を切らしながら前原に一番に聞きたいことがあった。
「はい。」
「なんで白石が田島のプレーするって分かったの?」
前原の大成のガードと同じようなボール運びがなかったら未茉はあんなコピーはできなかった、と同時に鈴木は前原の凄さも痛感していたのだ。
「……練習の時、アイツよく人のコピーするんですよ。気づいてませんか?」
「え」
「自分より凄い奴。特に湊のトリックプレーを。しかも瞬時に真似して自分のものにする。」
「……!」
「さっき田島のプレーを見ながらアイツ湊を見るときと同じ目をしてた。更衣室でも一人で手の動き確認していて‘まさかな’と思いながらも、パスしてみたら案の定。」
「……!」
驚く鈴木の横に、負けた王子のキャプテンの美山が握手を求めにやってきた。
「お疲れ様。とてもいい試合だったわ。」
「こちらこそありがとう。」
中学時代から何度か試合をしたことがあり、顔見知りだったのか、健闘称える握手をすると、
「あなたもいいガードね。」
前原の方を見てそう声をかけられ、振り返った。
「白石を100%活かせるガードになったら、きっと大成に勝てるわよ。私が保証する。」
「…」
その言葉に何も言えず、軽く会釈をし二年のいるベンチに戻っていってしまった。
「あら…」
「ああ、気にしないで。」
拍子抜けする王子のキャプテンに、鈴木は苦笑いで頷き、
「確かに大変よ。あの無限の可能性を秘めた白石を操るなんて。しかもあの性格だからね・・。」
「確かに・・。」
「でもあのガードならできるわよ。引退までには鍛えなよ。」
「うん。私もそう、誰よりも信じてる。このチームの進化を。」
「そう。私達の分も頑張って。」
「ありがとう。三年間お疲れ様」
そう、涙を流す背中を軽く叩き合い、互いを称え合い抱き合った。



