「「王子学院!!」」「「王子王子!」」
「やっぱり~やっぱり~東京一番!!!」
王子ギャラリーの応援ソングと拍手で会場のほんの一部の明徳の声援はかきけされる中、試合は始まった。
ジャンプボールが高らかに天井のライトに反射落下し、高くかがげたキャプテンの手が最初に触れ明徳陣地へ投げられ、
前原がキャッチした時にはもうーーー未茉が走り出していて、
「白石のマーク!!」
王子のガードがそう指示をし、ゴールに向かい走り込むも、
ーーバッ!!
ドリブルでターンしながら、右に踏み込むフェイクを入れてディフェンスを交わし、
シュパッ!!
あっという間の背面からのシュートを決める。
「「ーー何ッ!!?」」
「「嘘ッ!!!」」
明徳も王子の選手も立ち止まって驚いた。
ギャラリーもベンチも人々は目を疑うように立ち上がって驚いた。
シュートが決まったことに驚いたんじゃない。
ディフェンスを抜いたことを驚いたんじゃない。背面シュートに驚いたんじゃない。
「今の…は……!!」
「そんなまさか……!!」
観客の我が目を疑う中も、王子の選手も明徳の選手も戸惑う中、プレーは動く。
ーーバッ!
未茉が王子のボールをカットして、前原にパスするとまた未茉にリターンパスで返す。
練習では一度もあの二人がハマらなかったのが嘘の様で
「息ぴったり…しかも」
「あのボール捌き……あのスピード」
「あのジャンプの飛び方……」
「田島の得意なバックシュートじゃん!!」
そうーー田島を象徴する得意な難易度の高いバックシュートをいとも簡単にプレーしてみせる。
「完全コピーしたんだ。」
翔真は肘を付きながら頷いた。



