未茉は自分よりスピードのある強いドリブルで攻めディフェンス突破をする女を見たことがなかった。
大成戦ーー。
「「うわぁぁぁあ!!田島ぁぁあ!!」」
「早すぎて手元見えねーよ!!」
「なんだ今何人交わしたんだよ!?」
それはまるで踊るようにボールをゴールまで運ぶ女のように未茉の目には映った。
くるっとしなやかなターンで相手を惑わし、ボールは手に吸い付いたまま、後ろに目があるのかってくらいディフェンスを引き付け面白いようにすり抜けてく。
まるで見てないーー感覚で抜けてく。
三人がかりで囲まれても一瞬パスを出してまたボールが自分の手に戻ってくる。
まるで相手を嘲笑うかのようなボール捌きだ。
早すぎるドリブル突破に誰も追い付けない。
「初めて女バスに魅了されたよ…あの大成の四番見せてくれるぜ…」
「ああ…魅了されるっていうか……もう目が離せない。」
男子の試合を見に来たファンも皆、田島のプレーにギャラリーも観客も魅了されていた。
「すげぇうめぇ…!!体も強いし、男子と変わらないスピードで来たら止めらんねーよ。」
そして未茉ももちろんそのプレーに魅了されていた。この前の試合よりもこの前の1on1よりも田島の仕上がりの良さに鳥肌が立ちっぱなしだった。
「あれが本気の田島さんか…!」
女子でこんな目を奪われるプレーヤーが同世代がいたということに衝撃を受け、胸が踊った。