「健…!お前は本気で未茉があの高校でいいと思ってんのか?!おかしいだろうよ!」
「落ち着けって。」

「お前からも言ってくれるって信じてたのに。お前が王子誘えば絶対に喜んで編入するって。俺、校長に掛け合ってもう一度再編入試験を…」
「匠。試合前だぞ。」
「分かってるけど!!」
「匠!」
ふうっと健は大きなため息を落として立ち止まった。

「お前の言いたいことは凄く分かる。お前は少し未茉のことになると熱くなりすぎるぞ。落ち着け。」
「……!」
「言っとくけど、俺にとっても未茉は可愛い妹だぜ。」
「だったら」

「と・り・あ・え・ず。未茉のことはゆっくりこの夏が終わったら考えようぜ。俺もちゃんと考える。」
「……」
「ほらそんな納得いかない顔をするな。未茉の兄貴である俺らが、まずはインターハイ出場決めねぇとな。」
わかったわかった、と肩を叩く手を匠は軽く払い、不服な顔をした。

「納得なんかいかないね。あんな明徳のお遊びバスケで恋愛なんかしてバスケの才能を殺してるようなもんだ。」


「…嫉妬じゃねーか。そりゃ。」
去って行く弟の後ろ姿を見ながら、苦笑いを浮かべた。