「湊さーん!!写真撮ってもらえますかー?」
「え。」
そのすぐ隣の席では王子戦を見に来た明徳の男子バスケ部員達が座ってると、昨日の試合を見ていた他校の女子生徒達が握手や写真を求めに来ている。

「アイツも昔から健みたいな嫌な要素持ってるな。」
遠くから見てたマイクがイラッとしながら睨んでいると、
「星河兄弟はもっと凄いですよ。」
「ん?」
隣にいた早乙女がコートにいる星河兄弟を指差すときゃあきゃあと悲鳴のような声をあげる女の子達に囲まれながらも雑誌取材などにも応じていた。


「匠兄!がんばって!」
次の試合を控える未茉はコートの隅で大成女子戦を見るために立ち見をしていると、ウォームアップしてる匠と目が合い手を振るとこっちにやって来た。

「未茉!お前も大丈夫か?緊張してないか?」
「おうー!!早く勝負したい!」
「うちに勝つ気だな?」
「当たり前じゃん。負けると思ってんの?」


「なーんだよ!匠、まずいんじゃないかぁー?幼馴染みとはいえ、うちの敵と喋ってちゃ。」


「健兄!」
そこへ匠の肩を抱くようにニコッと未茉達の元へ健がやって来ると、
「「ぎゃゃあぁぁあ……!」」と、女の嫉妬と憎悪交じりの声が耳の鼓膜を破りそうな悲鳴と化す。

「すっげー声・・・」
未茉が相変わらずな健の人気ぶりに呆れてると、
「いや、さすがに試合前だっていうのにあのテンションは辛い」と逃げてきてホッとしたように言うが、
「逃げ切れてねぇだろ・・・。」