「白石、あんた昨日遅れて来たから去年の王子戦の動画見てないでしょ?北君がまとめてくれたの見る?っーか、おにぎり食うなバスの中で!臭うだろ!」
「えー!だってお腹空いちゃって」

「あんたには緊張感ないの・・?」

水上さんに注意されながらiPadで去年の王子戦を見て、キタローがこしらえた大きなおにぎり食べていると、翔真が隣にやって来た。

「おいこらっ」と野村監督が席を勝手に移動する翔真に怒るも、
「アドバイスしようと思って」とにっこり答えると‘うっ・・・。’と何も言えなくなってた。

「それ去年の?」
翔真はあくびしながら心地良さそうに未茉の頭に頬を置いて画面を見る。

「おお。大成に比べて高さもなければ特に目立ったエースとかもいないからかな、細かいパスで繋ぐからやりづらいっちゃやりづらそーだけど。」

「余裕で勝てる感じ?」
クスと笑いながら翔真がわざと静かなバスの中で大きな声で言った。

「うん。わりと。」

「「・・・!!!」」
さらりと答える未茉に車内中が驚くも監督を始め心の中で喜びのガッツポーズをした。