試合開始三分前のブザーが鳴り、コートではBブロックの桜蘭と国際女子高校は列に並んだ。


「年上の女と付き合うの流行ってんのか?」
「え?」
「マイクといい翔真といい。」
別ギャラリーの隅っこで未茉は翔真と試合を見ようとベンチに二人で腰かけた。

「気になる?」
「気になるよ。なんか嫌じゃん。普通に友達の元カノと戦うなんてさ。」
「……」
「だって翔真が凄く好きだった相手だろ。」
「……」
「なんで黙んだよ!!?あっ!?友達なのに隠すんだ?」
「いやそういうわけじゃ」
「やっぱ帰ろっかなー」
なんとなくやはり前園ユリを見る気になれず未茉は立ち上がるもすぐに翔真の腕に引っ張られたと同時に、

ワアッ……!とコートからは歓声が上がった。


得点板を見ると桜蘭に早くも点が入り、前園ユリが決めたようだった。
「大事なとこなのに見過ごしちまったじゃん!!」

「未茉ちゃんに隠すことなんか何もないよ。」
翔真は急にマジな顔して握っていた腕を引っ張り‘座って’と促され、腰かけた。

「ユリが俺のこと好きになってくれて嬉しかったし、本当にそれに応えたいという気持ちで付き合おうと思ったんだけど、恋愛は嬉しいとか応えたいという受け身な気持ちで付き合ってはいけないと教わったので別れたんだ。」

「??」

「うん…分からないよね?未茉ちゃん。」

「いやわかるよ。」
「ほんと?」
少し疑い深く翔真は覗きこむように確かめる。