「白石を取っ捕まえろっ!!」

「はっはいっ!!!」
‘ふんっ!’と鼻息を荒くして野村監督はギャラリーから消えた学校サボって応援に来てた未茉の捕獲命令を男バス達に出していた。


「お前は白石の応援ひとつでやる気スイッチ入るんだから、可愛い奴だな。」

更衣室で着替える翔真に二年の先輩の橘は肩を抱きながらからかうと、少し照れたようにはにかんで笑ってるのを野村監督はすかさず、

「湊ぉぉお!!こんな大事な決勝リーグを前に惚れた晴れたなんてやってる場合か!!?」
「す…すみません…」

「まぁまぁ、野村監督、いいじゃないですか!!うちの二大エースカップルのおかげでベスト4ですよ!!ベスト4!!」
快挙ですよ!と悠長に騒ぐ部員達に怒りがこみ上げ、
「うちはベスト4じゃ満足はしないっ!!王子と大成を倒してインターハイは全国出場するんだぁ!!!」
「う……うぉおおおおお!!」
大きく出た監督と部員と盛り上がる明徳男バス更衣室をよそに、


「なんや、未茉来てたんか?」

「静香!!!」
大成のチームジャージに身を包む軍団の中から、静香が逃げるようにコソコソと帰る未茉を会場出口で見つけた。