‘ごめん…’って止めどなく流れる彼女の涙を拭いながら酷く痛んだ自分の胸を打ち消すかのように未茉を抱き締めた。
‘健兄ぃ’って泣き続ける未茉を守りたくて仕方ない気持ちになった。
恋とかそんな言葉では片付けられない俺にとっては唯一守ってあげなきゃならない子なんだって。)
「どうしたのさ健兄、急にボーッとしちゃってさ。」
「ん?いや、懐かしいこと思い出しててさ。」
「えーなんか絶対それ嫌なことだ。」
「ぴんぽーん。」
「やっぱひどい!健兄!!」
「ほーら、立つとこぼれるぞ!」
「またそうやって子供扱いする!一つしか変わんないのにぃ!!」
「じゃ早く大人になれよ。」
「……!」
健はフォークを持つ未茉の腕を握りフッと上目使いで微笑み、
「いつまででも待ってやるから。早く俺をお前の男にしろよな。」
「ひ…一つしか変わんないってるじゃん!!」
「ふはははっ。」
冗談なのかマジなのか最近はいつも分からない健に会うたびにからかわれてばかりの面白くない未茉なのであった。



