「からかってないぜ?じゃー未茉、俺を彼氏にするか?」
ぶっ!!と思わず飲んでいたアイスティーを吹き出す。
「いいね、その乙女な反応。初めて見たかも可愛いー可愛いー!」
真っ赤になって‘ゲホゲホ’と噎せる未茉の頭をポンポンと優しく撫でる。
「何最近恋とか目覚めた?」
「なんだよ目覚めるって!もー!そうやってまた面白がってよぉ!」
「いやぁー俺だって複雑なのよ。てっきり王子に来るかと思いきや、明徳に行ってよ匠だけじゃないからな?心配してんのは。」
「しょうがねぇだろ・・試験には落ちるし勉強にも全くついていけなかったんだからよ・・・。」
「できるだけ近くで見守ってやりたかったしさ。まぁ匠はちょっとお前に対していきすぎなとこもあるからな…」
「さっきから何が言いたいのかよく分かんないけど。」
ぽけっとする未茉を見て呆れながらもフッと笑う健は、
「とにかくお前を守るのは昔から俺の役目だってことだ。」
(中一の時まで、未茉を泣かすまでは同等の立場だと思ってたな……。思い出しちゃったなさっきの話で。
その日までは俺は子供でお互いにライバル同士だと思ってた。会う度に意地になりながら1on1やって俺が負けていつも勝負張り合って。
少し間が空いて俺が中2になって全国でも活躍するようになって、周りが俺を特別視し始め自分自身も自信がついた時、未茉と久々にいつものように本気で1on1して勢いよくボールを奪い取ったら吹っ飛ぶように倒れちゃって。
ああ、未茉は女だ。
ライバルではなく、女。
その倒れた未茉の体のラインが昔とは全然違っていて、負けて悔しいってわんわん泣く未茉を見て守ってあげなきゃならない女の子だって気づいた。



