「いよいよ王子とか。」
勝利の余韻が一気に無くなるほどの緊張感に包まれる明徳女子の中で、未茉だけはケロっとした顔で次の古巣との試合を待ちわびていた。


「あっ♪健兄ーー!!勝ったよーー!!」

ギャラリーを見上げ未茉は健に満面の笑みで手を振りながらジャンプすると、

「見てたよ!おめでとう!」
「全然!へーきっあっ!なんだ翔真来てたの?あ、またマイクもいる。」

‘なんだ来てたの?’と言う言葉にガーンッとショックをうける翔真に、

「呼び捨てすんな!」と怒るマイクだった。



「やっぱり決勝戦の鍵は、王女の元スターの白石をどう押さえるかね。」
「元チームメイトとはいえ、手加減してられない。」
王子の女子達が次の試合に向けて話ながらギャラリーを後にしていく。

明徳が会場から出て更衣室へ続く廊下に移動してくると、マイクが鈴木キャプテンと話していた。

「あ、マイク。翔真は?」
「「マイクじゃないだろ!!‘マイクさん’でしょ?!」」
声まで揃えて息ぴったりのカップルに怒られると、
「翔真なら帰ったぞ。お前が健といちゃついてるからな。」

「へ??」

「未茉、途中まで送ってく。ここで待ってるよ。」
健が廊下へやって来てそう言うが、
「あ、健兄!分かったちょっと待ってて!!」
「おう。どこ行くんだ?」
「ちょっと翔真のとこ!」

着替えもしないでユニフォームのままダッシュでそのまま外に飛び出した。

「なんだかんだ翔真がいいんだな。」
「そりゃそうでしょ。あんな暴れ娘面倒見きれんの湊だけでしょ。」
マイクと鈴木の言葉を聞きながら、

「へぇ。」と健は頷いた。