ピー!!
再び未茉についていたディフェンスの選手にファウルが吹かれ、
「もう5ファウル…、あの選手退場だ…」
「白石にファウルするために代わる代わる選手を使ってくってことか…。やり方汚い…」
未茉の攻撃を恐れ、その前に食い止めるってことかと明徳ベンチは苛立つも、

「よし、向こう5ファウルね。こっからがんがんファウル誘ってこう。」

「前原さん、白石がフリースロー成功率がかなり高いです。向こうはファウルしてくるだろうから、なるべく白石にボールを…」
タイムアウトでキタローがそう前原に助言をするも、
「…」
無言でコートに戻っていってしまう。


「まあ、どっちにしてもこのクォーターのファウルはうちへのチャンスだからな。向こうが次はどうでるかだが…」
野村監督は逆にもちろんそれは明徳の有利になるはずだったが……、

「オフェンスチャージング!!」

「なっ…!!ちょっと嘘!!」
フェイダウェイでシュートにいく鈴木とそれと阻止する榎本が同時に倒れるも、
「待ってください!!野中の4番が思いっきり体重かけてきて…」

「青4番、オフェンスファウル」

「なんで…」
思わず言葉を失う鈴木だが、
「レフリーから見ると、鈴木が突っ込んで倒したように見えるっーことか…」
「スピードで抜こうとしたのが逆に裏目に出たか…つーか、榎本の奴、オーバーリアクションっーか、汚い…」
次第に明徳のベンチもストレスをためていき、ゴール下の要、鈴木もファウル三つになり、ベンチに下がることなった。

鈴木のファウル三つもきついが、高さを失う明徳にとってもきつい試合展開となる。


「対する榎本はまだファウル一つかよ…」
「白石には代わる代わる選手達をファウルアウトにさせやがって…」
明徳のリズムを壊し、榎本がファウルすれすれでゴール下の攻守を支配するこれが野中工業のやり方だった。

そのお陰で2Q終了間際、 
明徳19対25野中工業
未茉や前原が外からシュートを放つも、負けていた。

「リバウンドが全くとれねぇな…」
はぁっと歯がゆい思いでマイクが唇を噛みしめるも、
「大丈夫ですよ。」
なぜだか余裕そうに翔真は頷き、

「ま、そろそろかな。」
健も余裕そうに未茉を見つめた。