「ただいまより野中工業対明徳の試合を始めます。」
笛が鳴ると同時に整列し挨拶を追え、いよいよtipoff。
榎本と鈴木キャプテンのジャンプボールの競り合うも、圧倒的なパワーと高さに全く歯が立たずに野中ボールから試合は始まった。
「！！」
ゴール下で榎本にパスを集めると、監督の指示通り新垣と鈴木の二人で止めに行くも、腰を落とし激しく体をぶつけながら榎本はゴールを狙いに行く。
審判から見えないように榎本は背中に肘うちをした。
「審判っ！！」
思わず審判に新垣が訴えるも、笛を吹かれる様子はない。
「ちょっと！！ファウルじゃん今の！！」
思わず明徳のベンチは立ち上がってしまうも、それでも審判はスルーだった。
そしてしっかり点を決めれてしまった。
前原からのパスに、新垣がシュートを打つもリングに嫌われ、
「「リバウンド！！！」」
もちろん頭一個出てる榎本が鈴木を押し寄せ体を張ってボールをもぎ取ると、
(ーー痛っ！！)
強く押し退けられたあげく、足が絡まり体勢を崩され床に叩きつけられるも、
「審判…！！」
訴えるような視線で審判を見上げると一瞬、笛を吹くか迷った素振りをするものの、ゲームは続けられ、
「NO！！」
思わず見ているマイクも苛立ちながら首を横に振る。
「おらよっ！！」
ニヤッと頷く榎本は速攻を狙い味方へと前へボールを出すと、
ーーパシッ！！
読んでいた未茉は素早く飛び出し、パスカットしボールを奪い、自らゴールを狙いに行く。
「「おしっ！！さすが白石！！！」」
ガッツポーズをし、立ち上がる野村監督と明徳ベンチ。
「打たせるか！！」
引き返すものの、未茉のスピードに敵わず、そのままレイアップシュートに行き、しっかり決めてくる。
「すばしっこいチビだな」
ふんっとまだ鼻で笑う余裕綽々の榎本は、仲間を呼び何かを合図した。
「出る杭は踏み潰すだけだ。」
そして未茉を見ながら面白そうに笑みを浮かべた。
