「アイツのシュートブロックしようものならば、すっげぇ野次飛ばされて、帰りは睨まれてSNSでブサイク巨人!!って誹謗中傷メッセージの嵐・・」
「怖いですね・・・。」


「あ、明徳がコートに出てきたな。」

コートを見てると鈴木がマイクに気づき、軽く手を振ると‘がんばれよ’という優しい目をして手を振り返す。

翔真も後からコートから出てきた未茉に気づき、
「あ、未茉ちゃん。」

ウォームアップを始めようとしてた未茉の手が突如止まり、出入り口を見てボールをポトッと落とした。


「未茉。」


「え……嘘……!!健兄ッ!?」

コート入り口の隅に匠と共に現れた健に、ぱああっと目の色が変わり一瞬にして明るくなる表情に、


「未茉、おいでおいで。」

愛犬を自分の元へ呼ぶかのように健が、普段は決して見せないような笑顔で手招きし、両手を広げて未茉を待っていると、勢いよく飛びつく。


「健兄っ!!!会いたかった!!!」
「俺も俺も!!元気してたか?」

嬉しそうに健は未茉の体を慣れたようにひょいと両手で軽々と抱き上げて、おでこをくっつけながら顔を見合わせて、

「変わってねぇーな!相変わらずだなっ」
「うんっ!健兄も相変わらずカッコイイ!!」
「未茉の方が100倍可愛いけどな。」


「「いやぁぁぁぁああああ!!!」」

「なんなのよぉ!?その女はぁあ」
「星河さんやめてぇえええ!!」
会場中の女子達からの嫉妬と怒りの入り混じった悲鳴にも似た耳を塞ぎたくなる程の怒号と泣き声が会場に響き渡った。



「なっ…… 白石……!?」
「なんでアイツが星河さんと!?」
明徳の女子達もウォームアップしてた手が止まりコート隅の二人に視線はくぎ付けだ。
「アイツ……」
実は同世代のアイドル星河兄弟のファンだった二年の前原と矢野は益々未茉が嫌いになった。


「……おい、翔真。」

こちらでは翔真が頭真っ白の放心状態で二人の光景を見てるマイクは、
「障害の多い男だな。お前も。」
気の毒そうに笑った。

(やった。ショック受けてる受けてる…)
脱け殻のような翔真を見てシメシメと手応えを感じ微笑む莉穂に、

「うわぁああっ!キタローがショック死してるぞぉお!!」
「触ったら呪われるぞ!!」
同じく明徳ベンチではキタローが泡を吹いて倒れてるのであった・・・。