「あ…」
星河健ーー
すぐにその存在に気づいた翔真は見上げた。
「「きゃぁああああっ!!!!」」
「スター兄弟だぁぁ!!」
「初めて見たぁぁ!!」
「マジでかっこよすぎ!!!」
ギャラリー席に登場した瞬間、興奮気味の女子達の悲鳴のような声と共にスマホが向けられ、動画や写真を撮られ、中には一眼レフを向けるオタク達もいる。
王子の女子部員達が二人の登場に立ち上がり一斉にペコッと挨拶をすると、健が頷きながら紳士に軽く手をあげただけで、会場中の視線を一気にさらってく。
通称・starbrother(スターブラザー)
そのモデル顔負けのいでたちと存在感と誰もが憧れる才能を持つ生まれながらの手の届かないスターのような存在に取材陣が勝手につけられるも全国の高校バスケ界では浸透していた。
「oh相変わらず嫌みか。全国MVP。」
マイクは思わず呟くが優しく睨む。
「え、何が?」
さらりと交わす嫌らしい口振りの健に、
「去年の東京新人争いした三人が顔を揃えたな。」
「健の一人勝ちだったがな。」
悔しさ滲ませるも、マイクは二人を称え合うようにハグを交わし合う。
「久しぶりだなツインズ。」
「ああ。」
両者笑顔で握手するもその瞳の奥では熱い火花を散らしあっている。
「あれ、君も来てたのか。」
「はい。こんにちは」
匠は翔真を見て心なしか冷たく言い放った。
「まさかとは思うが未茉の応援に?」
「はい。」
ニコッと答える翔真に匠はマイクと同様に絶句した。
「ず…随分余裕だな。シード校でも何でもないのに女子の応援なんて。あ、そうか。一年だから試合に出れないのか。悪い悪い野暮なこと聞いたな。」
(翔真が明徳スタメンのエースだって知らないのか。コイツはいくら名門王子と言えどもが笑っていられるような相手じゃないんだと思うが……)
マイクはそう思ったが嫌みだとも気づかず翔真が眠そうにあくびしてるのを見て顔がひきつるも、
「言われっぱなしでいいのか?」
「え??」
なんのことか全く気づいていない今日もネジのゆるい翔真に我が後輩ながら呆れ果てる・・・。



