「大成に行くかと思いきや、まさか明徳とはね。」
「いや、明徳は馬鹿にできない。ましてや白石が加わったならば。あの子は全国ベスト5にも匹敵する程のプレーヤーよ。」

「間違いない…!!」
「あぁ…白石なんで、なんとか進学させたかった先生達が特別に白石用に作った史上最高に甘い追試も三回も落ちる程の馬鹿なのよぉぉおおおっ!!!」
うぁぁああっっ!!と悔やむ王子のキャプテン美山は泣き崩れると、
「「「キャプテーン!!!」」」
部員達はみんなで慰め合うのであった・・。



「どんだけ馬鹿なんだあの子は・・・」

(追試を三回って・・・。)
ちょうど王子学院女子達の横を通りかかった大成の白の巨人・マイクはその話を聞いて絶句していた。

「大成の巨人だ…」
ギャラリーで一際異彩を放つ貫禄漂う東京のバスケのスターに観客達は少しざわめいていた。


「あれ、マイクさんも来てたんですか?」
「翔真…!!」
マイクが振り返ると翔真は隣に腰かけた。


「なんだお前余裕だな。明日四回戦じゃないのか?」
「マイクさんこそ余裕ですね。」
「バカ野郎・・。俺はシード校だし去年の東京準優勝校だぞ。」
「そうでした。」
あははっと余裕綽々と笑う翔真に、
「お前は本当に集中力がないな。」
呆れ果て嫌みを投げるも、

「大成戦は集中しなきゃ勝てませんよ。」
「その割りには、白石の試合なんか見にきて余裕こいてるんだな…」
「これも大成戦に向けて集中力を高める為の大事な観戦です。」
ニコッと未茉のことになると減らず口で返す生意気な翔真に、

「だからそれが余裕なんだ!!」と怒られてると、

「「きゃぁあああっ!!!」」

「ちょっとぉぉお!!」
急に二人の周辺の背後から女子の歓声に包まれる。
「ん?なんだろ」
さすがの翔真も辺りをキョロキョロと見回すと、
「どうせ星河だろ。」
隣のマイクは慣れたような口振りで微動だにしないでいると、


「あれマイク、彼女の応援?」


「…星河。」
振り返るとそこには、去年の東京王者であり、全国優勝を果たした王子学院大学高校の二年エース星河兄弟の星河健と星河匠が立っていた。