次の電車を待っている間、風で髪を靡かせて空を見上げる未茉の横顔を眩しそうに翔真は見つめていた。
‘まだまだ湊君は健さんの足元にも及ばない’
蘇るその台詞と悔しさが胸を締め付けた。
「あ~喉渇いたなぁ~水筒中身ねぇし!仕方ねぇ無駄遣いでもしてやっか!感謝しろよ!この自販機よぉっ!!」
ぶつぶつ文句を言いながら、未茉はなけなしの小銭を手にし自販機のボタンを押してジュースに手を伸ばすと、翔真は後ろから彼女の腕を引き、
「おわっ!なにす……」
体を屈ませ目を閉じた翔真は未茉のほっぺに軽くチュッと音を立ててキスをした。
「ほんとにすきだらけだ。」
とまるで仕返しといわんばかりに悪戯に笑うと、
「なっ…なッ……!!!」
一瞬何が起きたのか分からない未茉は、次第に状況を理解すると真っ赤になって口をパクパクさせながら、
「ばっかじゃん!!翔真マジふざけんなっ!!」
「あはははっ!」
持っていた缶ジュースの炭酸がシュワッ…と弾けたように、追いかけ合う二人の笑顔に夕焼けの光が反射してキラキラと輝き弾けた。
そんな二人を見せつけられ、悲しみと悔しさから静かに涙を浮かべながらキタローは見るも、
「あ、オーラが…」
未茉のオーラがいつもの虹色に戻っていくのが見えた。