「あ、未茉、一時はどうなるかと思っ……って待ってどこ行くっ…」
試合終了後、会場から出てくる未茉に気付き、莉穂は両手で大きく手を振るも、何やら辺りを見回しながら出口の方へ走っていき、
「莉穂、駿!サンキュー!また後で!」
「どうしたんだ?未茉の奴。」
駿は首を傾げるも、
「さすが健さん。未茉のピンチに駆けつけるなんて。」
莉穂は嬉しそうに頷いた。
「健兄…帰っちまったか。」
はぁはぁと息を切らしながら会場辺りを回るも見当たらないので、後で電話しようと残念そうに肩を落とし莉穂達の元へと引き返すも、
「白石未茉さん。」
会館前の入り口で待ち伏せをしていたかのように腕を組み寄りかかっていた桜蘭エースの前園ユリが未茉を呼び止めた。
「こんにちは。私のこと覚えてる?」
「は?全然。」
唐突な質問に即答する未茉。
「ひっどいなぁー。二年前、総体で戦った仲なのに。まぁうちが楽勝で勝ったけど。」
育ちの良さが垣間見える上品な微笑みを浮かべると、
「あなた、湊と一体どういう関係ですか?」
そこへ莉穂は未茉達の存在に気付き、仲に割って入ってきて尋ねた。
「んーいわゆる元カノ?」
反応を面白がるように彼女は言うと、
「「元カノ!!」」
一番未茉に言いつけたかった台詞だったが、ご期待に添えるような驚き顔をしたのは、莉穂と駿で声を揃えて復唱する。
(湊の野郎・・・こんな綺麗な人と・・関係を持つだけじゃ飽き足らず、未茉にもちょっかいだしやがって…ぜってぇ未茉とは付き合わせねぇ!!
第一、俺だって莉穂と付き合えてねぇのに、バスケだけじゃなくてアイツばっかり言い思いしやがってアイツばっかりアイツばっかりアイツばっかり)←永遠。