「ナイスカット!!白石!!いいぞー!!行けぇーー!!」

片手で相手からボールを奪い、そのまま速攻へ完成度の高いパスフェイクを入れてのシュートを放つ。

「い……入れたぞ!!」
「つーかアイツ今リング見てなかったよな!?」
「な……なんだ!?あの子は…!!」
他校の生徒達が息を吹き返した未茉の圧巻なプレーに目を奪われた。

「「いっよっしゃあぁぁあ!!!
白石復活だぁぁあ!!!」」
結城と三上がガッツポーズで抱き合い、男バス達と盛り上がる。

「よぉーしっ!白石そのまま突っ込め!!」
「今度は外からだっ!!3ポイント!!」
「決まったぁぁあ!!これで20点目だぞあの7番!!」

一度火がつくともう止められなかった。
鬱憤を晴らすように打てば次々にリングにボールが面白いように鮮やかに沈んでいく。


「やっぱり間違いないあの白石未茉だ!!」

「全中の去年の優勝チームのエースのMVPの子だ!!決勝で一人で50点取った!!」
観客も品川女子の監督もその鮮やかで洗練されたプレーにようやく思い出されたのだ。

「なんでそんな天才が明徳に…」



「うおぉお!!二人抜きで30点目かよ!!」
「品川女子のスコアを完全にフリーズさせやがった……!!」

沸き上がる観客とベンチの中で桜蘭のエースーー前園ユリ(マエゾノユリ)は寄りかかり、

「あれが翔真の女か。ま、こんくらいの女じゃなきゃ倒しがいないかもね。」

来るべき対戦を夢見た。



「白石未茉って…あの白石清二の娘ですよね!?日本一の愛知の強豪に入学したと思いきや…」
規格外のプレーを見て思い出したのかメンバー登録票の名前を見ながら何度も確認し、ざわつくのは高校バスケ協会の関係者席だ。

「だとしてもあれは高校一年のレベルじゃない……湊君も凄かったが……今年の明徳は一体どうなってるんだ!?」

観客達を大いに賑わせながら明徳学園高校は、
70対52で二回戦も圧勝を果たして三回戦進出が決まった。