「みっけ。」

翔真が校庭に辿り着き、黙々と全力で走り抜ける未茉の元へと走り出すと、

「~~~」
「~~~…」
会話までは聞こえないがグラウンドにいたサッカー部の部員一人に呼び止められ足を止めていた。

「?」何してんだ、と翔真は走り出して近づいていくが……
困った顔して首振る未茉に照れた顔で言い寄る男を見て想像ついた翔真はスピードをあげ、

「未茉ちゃんサボるな。」

追い付くと後ろから奪い去るように未茉の手を引っ張り走った。

「翔真!」

サッカー部の男はあっけなく連れ去られてしまった未茉を見て唖然と立ち尽くしてる。

「告白されてた?」
「告白なわけねぇだろ。あたしの事知らないんだから。今度遊びにいこうって誘われただけだよ。」

何事もなかったように二人で並んで走り始めると翔真はゆっくり腕を離した。

「俺、もしかして邪魔した?」
「え?何が?」
「やっぱモテるか。」
「何?独り言?それ」
「いや?ん。」
「あ?」


「何あれ。男と楽しそうに外周してんじゃん。」
「ほんと。しかも湊と。」
斎藤の指示で未茉を呼びに来た二年女子は睨んでいた。